【趣旨】

2002年に政府により知的財産立国が宣言されて以来、知的財産の保護と有効な活用を図るための政策が矢継ぎ早に遂行され、知的財産に対する関心が高まっています。一方で知的財産は無体の財産であるため侵害され易く、いった侵害された場合には被害の回復は容易ではありません。価値ある知的財産を産み出して活用して行くためには、事後的に紛争処理するのでは遅すぎ、侵害を予想してこれに対処するなかで、将来の知的財産活用の戦略を練っておく必要があります。この公開講座では、日米の知的財産紛争に携わる法曹実務家や研究者、企業あるいは行政の第一線で活躍されている講師のみなさんをお招きして、5回にわたって知的財産の戦略的活用の現状と展望について語っていただきます。


【日程】

2008年6月14日(土)〜7月12日(土) 毎週土曜日 13:00〜14:30 <全5回>


【会場】

早稲田大学西早稲田キャンパス8号館−B107教室

【コーディネーター(各回司会)】

早稲田大学法学部大学院法務研究科教授
早稲田大学《企業法制と法創造》総合研究所知的財産法制研究センター長 高林 龍


【主催】
早稲田大学法学部


※ 連続講義ではありますが、一回ごとの完結型になっておりますので、ご興味のある回のみの参加も可能です。
※ 入場無料です。お申し込み受付完了のメールを受け取りましたら、当日直接ご来場ください。





第1回 6月14日(土) 「米国における知的財産訴訟の現状と展望-理論的側面と比較法の観点から-」

この2〜3年間に、連邦最高裁が次々連邦巡回控訴裁判所の判断に対する裁量上告申立を受理し、影響力を増大させた結果、特許訴訟実務が激変している。特許要件厳格化を要請する最高裁の意向に伴い、既に発行している特許についても、権利行使の際には、無効と判断される危険性が高まっている。従って、最近の判例法の動向を理論的、比較法的側面から分析し、特許取得、権利行使の両面から実務への影響を検討する。

講師: 竹中俊子(タケナカ トシコ)
  ワシントン大学ロースクール教授(ワシントンリサーチフォンデーション技術法プロフェッサー)
  早稲田大学大学院法務研究科客員教授

第2回 6月21日(土) 「知的財産権を巡る現状と企業における戦略的な知財管理-特許行政の立場から-」

知的財産権を巡る国内外の状況を概観し、企業の事業戦略、研究開発戦略及び知的財産戦略の「三位一体の経営」と知財のリスクマネジメントの重要性が高まっていることを、戦略的な知的財産管理の事例を交えながらお話する予定です。

講師: 北岡浩(キタオカ ヒロシ)
  特許庁総務部企画調整課特許戦略企画調整官

第3回 6月28日(土) 「米国における特許訴訟及び法廷外の紛争解決−社内戦略と交渉戦略を、法廷戦略の観点から見直す−」

無体財産である特許権侵害の紛争は、話し合いで決着しなければ、法廷で争われます。企業の知財戦略を法廷戦略と整合性を持たせる重要性は、刻々と変化する米国特許法の下、益々高まっています。企業の知財戦略を最新の法廷戦略の観点から見直します。

講師: 萩原弘之(ハギワラ ヒロユキ)
  米国弁護士/ロープス&グレー法律事務所 パートナー

第4回 7月5日(土) 「知的財産紛争の一回的な解決方策を探る」

企業間における知的財産権紛争はますます増加している。しかし、すべての知的財産紛争が,裁判所に持ち込まれるのではなく、むしろ,ごく僅かな割合の紛争だけが訴訟になる。知的財産権紛争がどのように生じ、解決するのか、どのような場合に訴訟が提起されるのか、訴訟解決についてのメリットとリスクを考え、より良い知的財産権紛争解決とは何かを探りたい。

講師: 飯村敏明(イイムラ トシアキ)
  知的財産高等裁判所第3部・部総括判事

第5回 7月12日(土) 「富士通のグローバルな知財戦略−事業の中で知財をどう育て、活用するか?」

オープンイノベーションの時代において、企業は厳しい技術開発競争に勝ち抜くことが求められる一方、「知財戦争」とまで言われるような脅威にさらされている。そこでは、知財や国際標準化の戦略の重要性がますます高まっている。知財と経営に関して、現代の企業が直面する課題と対策を具体的に検討したい。

講師: 加藤幹之(カトウ マサノブ)
  富士通株式会社経営執行役、法務・知的財産本部長