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「ヒラリー・クリントンを連邦最高裁判事に」という声

RC 安藤和宏

 光陰矢のごとしで、アメリカに留学して3年余りの月日が経過した。その間、数多くの貴重な経験をすることができたが、中でも5月中旬にオレゴン州ポートランドに小旅行した時に、偶然、宿泊先のホテルの前で民主党大統領候補のバラク・オバマ上院議員を見かけ、さらに翌日、7万5千人の聴衆を集めたことで話題となった演説集会に参加できたことは、忘れられない思い出となった。 オバマ候補の一挙一動に聴衆は熱狂し、歓声を上げる。あの言いようのない高揚感は、日本ではなかなか体験できないものであろう。
 連日のように報道されるアメリカ大統領選のニュースで、最近、よく取り上げられるのは、民主党の大統領候補指名選でオバマに事実上敗れたヒラリー・クリントン上院議員の処遇である。 あれだけの善戦と白人女性の支持票に配慮し、副大統領として任命すべきだという意見がある一方で、連邦最高裁判事として任命すべきだという声が上がっている。 連邦最高裁の裁判官は、上院の助言と同意に基づき、大統領が任命するため、オバマが大統領選で勝利すれば、ヒラリーを最高裁判事として指名すべきだというのである。
 もちろん、9人で構成される最高裁の裁判官に空席ができない限り、ヒラリーを指名することはできない。5人の裁判官が70歳を越える高齢であることが、いささか不謹慎な憶測を生じさせているのかも知れない。 さらに母親のドロシーはヒラリーがまだ7歳の時から「最高裁判事を目指しなさい」と言い聞かせていたことも伝えられている。 また、2005年にサンドラ・オコーナー判事が引退したため、現在、女性の最高裁判事はルース・ギンズバーグだけであり、バランス的にも女性判事の登用が望まれている。 このようにヒラリーの登用を願う声には、さまざまな事情がその背景にあるようである。
 このヒラリーの例のように、アメリカでは連邦最高裁の裁判官の任命が一般市民の大きな関心事になっていることに驚かされる。 アメリカは訴訟社会だから市民が関心を持つのは当然だろうと揶揄する声があるかも知れないが、それは少々短絡すぎる見方だろう。 連邦最高裁は、安易に政府や行政に妥協せず、政治的あるいは経済的政策に対しても思い切った憲法判断を下すために、アメリカ社会における連邦最高裁の占める役割は非常に大きく、このことが一般市民の関心を高めているというのが、妥当な見方であると思われる。 日本でも裁判員制度が来年の5月21日から開始されるが、この制度が一般市民にとって、少しでも日本の司法制度に興味を持つ契機となることを切に願って筆を置くことにしよう。

(2008/06/18 update)

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