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「ホーリー・カラー」
早稲田大学助手 張睿暎
RCLIPのアジア知的財産判例データベースにインドの判例を追加する件で、3月19日から22日までインドのデリーに行ってきた。 実りのある出張を終え、最終日に空港に向かう前に、インドの三大祭りの一つであるホーリー(Holi)の様子をうかがうことができた。
ホーリー(Holi)祭りとは、万物が蘇生する春の到来を祝う「色の祭り(festival of colours)」である。 ヒンドゥー教の暦によって毎年祝賀の日が変わり、今年は3月22日であった。(ちなみに2009年は3月11日になるという。)
「色の祭り」であるだけに、祭りの日には誰彼構わずホーリー・カラー(Holi colour)と呼ばれる明るい色の色粉や色水を掛け合いながら歌って踊って喜びを表す。 普通に道を歩いているだけで、建物の窓から色水が飛んできたり、背後からいきなり浴びせかけられたりと、この日の外出には覚悟が必要であると言われるぐらい大騒ぎな祭りである。 デリー警察は、「望まない人にカラーをかけないこと、歩行者に水風船を投げないこと、ケミカルカラーを使わないこと、飲酒運転しないこと、二輪車に三人乗りしないこと」など、ホーリーの時にしてはならないことを新聞広告で啓蒙していた。 何週間も前からインド全国はお祭りムードで盛り上がり、新聞やテレビでもホーリーの話題は欠かせない。
伝統的なホーリー・カラーは植物と香辛料などを混ぜて、家で直接作る。例えば青色を作るためにはジャカランダの花を干したものにインディゴを混ぜて、望む色合いのブルーになるまで水を足せばいい。 緑色を作るにはなんと、ホウレンソウ、マスタード、コリアンダーのペーストに水を混ぜるだけどいいという。 黄色はターメリックパウダーとベサン粉を1対2の割合で混ぜるだけでいいし、赤色はターメリックパウダーにレモン汁を何滴が落とすだけでマジックのように色が赤に変わるという。 (ところで、このようなホーリー・カラーの調製方法は知的財産にならないだろうか?)
このように伝統的なカラーは植物と香辛料で作るもので、食べても人体に害はないが、材料費がかかる上に、顔や体についたら何週間も色が落ちないという問題もある。 それで毎年ホーリーのシーズンになると、マスコミでは、「ボリウッド(Bollywood:インドのハリウッド)女優たちのノウハウ」という類の特集を組んで、カラーを落とす方法を紹介したりする。華やかにほほ笑む人気女優さんの話によると、ホーリー・カラーからお肌や髪を守るためには、必ず日焼け止めを塗って出かけ、カラーを洗い流す時には必ずクレンジングクリームなどで十分なじませた後に擦らずに洗い流すのがいいという。ちなみに、食用オイルをミルクに混ぜて洗い流してもいいとか。
このような記事の隣の広告欄には、ホーリー・カラーを残さず洗い流せるシャンプーや化粧品の広告が載っていたり、最近這流行りの、有機栽培された材料だけでつくられたオーガニックカラーの紹介や、ホーリーシーズンのセレブのファッションチェック(カラーが冴えるようにわざと白い服を着るのが流行りだという)だったりと、まさにこの時期のインド国民の関心事は「聖なるホーリー」なのである。
一方、化学成分のホーリー・カラーに対する注意を求む記事も目立った。伝統的なカラーは、天然材料を揃えるに時間もお金もかかるし、体につくとなかなか落ちないという問題があった。
そのようなニッチを狙って最近中国産のケミカルカラーが市場で売られているという。それら化学成分のカラーは伝統のインドカラーよりよく落ちるうえに値段も安いため、今若者の間で旋風的な人気であるという。しかし、化学成分による皮膚トラブルが続々と報告されているため、インドの国立環境森林省と消費者保護省ではケミカルカラーを使用せず、天然ハーブのカラーだけを使おうというキャンペーンを展開している。
私は敏感性肌なので、カラーに染まることはできなかったが、ヴィヴィッドなカラー(一部の人はすべての色が混ざって真っ黒だったが。笑)に染まった街中の人々がとても楽しそうであった。インドに行かれる機会のある方は、ぜひホーリーの時期を狙うべし。
(2008/03/28 update)
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