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「自反而縮雖千萬人吾往矣」
RC 加藤幹
「自反而縮雖千萬人吾往矣」。私が卒業した高校の理念であり、母校の校庭にはこの言葉を記した石碑がある。 その意味は「自分自身を何度も振り返り正しいと確信したのであれば、たとえ千万人に対しても私は立ち向かっていこう」というものである。 この言葉の出典が孟子であることは卒業後に知った。
十八番まである長い校歌はもはや断片的にしか覚えていないが、この言葉は母校のもう一つの理念である「質実剛健」とともに、私の胸に深く刻み込まれている。 したがって、この言葉を体現したかのような事例に接すると私は思わず拍手喝采をしたくなる。
例えば、最高裁による度重なる破棄差戻しにもかかわらず審決取消訴訟における審理範囲は限定される旨の判示を繰り返し、ついには最高裁大法廷をして判例を変更せしめた東京高裁の態度は、その良い例である。 私見としては当事者系の審決取消訴訟についてまでその審理範囲が限定されるべきかという点ついて異論がないではないが、そのこととは別に、最高裁何する者ぞという東京高裁の態度に「拍手喝采」なのである。
しかし、これは「自反」あってのことである。巷間では「千萬人吾往矣」と後段のみが引用されることもあるようだが、これは適切ではないように感じる。 「自反」なき「千萬人吾往矣」などただの我侭にすぎない。また、こと学問の世界においては、「自反而縮」である場合に「雖千萬人吾往矣」という態度を採ることはむしろ当然であるというべきであり、こうした場合に日和見をしてはならないと思う。 事象を丹念に観察し、謙虚な姿勢で他人の意見を聴いた上で、自らの能力の限界まで、「雖千萬人吾往矣」という心構えが得られるまで検討を行うことこそが重要なのであり、これが「自反」の意味するところであると、私は考えている。
我が身を振り返ってみれば、学問の徒として充分な自反ができているかと問われると何とも答えようのない状況ではあるが、 「自反而縮雖千萬人吾往矣」の言葉とともに、その気概だけは持ち続けていこうと思う。
(2008/02/26 update)
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