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「アメリカのロースクール事情(3)」

RC 安藤和宏

 光陰矢のごとしで、前回のコラムからさらに1年余りが経過した。その間にシアトルにあるワシントン大学ロースクールのLL.M.プログラムを修了し、 現在は同校の客員研究員として著作権法の研究を行っている。ニューハンプシャー州のフランクリンピアースでの留学生活同様、 ここでの経験もまた貴重なものとなっている。
 その中でもワシントン・ロイヤーズ・オブ・アーツが主催するリーガル・クリニックに3ヶ月間、 当番弁護士のサポートとして参加したことはとても有益な経験であった。 このリーガル・クリニックは隔週月曜日に法律問題で悩む芸術家の相談を知財専門の弁護士が受けるというプロボノ活動である。 相談時間は30分間、一人の担当弁護士につきクライアントは5名、つまり2時間30分休みなく相談を受け、法律的なアドバイスを行うというものだ。 弁護士のクライアントへの対応、特に限られた時間内に難しい用語を避けて分かりやすく説明するというテクニックには大いに学ぶべきものがあった。 アメリカは訴訟社会と言われているが、一般市民にとって弁護士への法律相談はやはり垣根の高いものであり、 20ドルの寄付金で専門家のアドバイスが受けられるリーガル・クリニックはとても有益なサービスのようだ。 意外だったのは、未だに多くの芸術家が著作権の発生に著作権局への登録が必要だと思っていることだ。
 シアトル大学ロースクールの著作権法の授業でゲスト講師として講義を行ったことも忘れられない貴重な経験となった。 慣れないパワーポイントの操作に苦戦しながらスライドを作成し、本番に備えて自宅で模擬授業を10回以上行ったのもいい思い出である。 50分間の短い授業であったが、矢継ぎ早になされる早口の質問にたじろぎながらも、何とか無事やり遂げた達成感は他ではなかなか味わえないものであった。 アメリカに留学した人なら分かると思うが、アメリカ人はとにかくよく質問をする。 平常点が成績に大きく影響するということも一因だろうが、それにしても授業中、間断なく受講生は積極的に発言する。 ここが恥の文化と言われる日本で育った日本人学生との大きな違いである。日本の大学の授業風景といえば、授業中は質問や発言をせず、 授業終了後に優等生たちが教壇の前に列を作って教師に対して個別に質問をするというものであろう。
 今振り返ると、ロースクールの授業での積極的な発言や活動がこのような得がたい機会や経験をもたらしてくれたように思える。 ジョン・レノンが歌うように「Life is very short」。これからも人との出会いを大切にして、 小田実の「何でも見てやろう」の精神でいろいろなことにチャレンジしていこうと思う。

(2007/11/13 update)

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