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「知財立国」と知財の国際的調和

RA 崔 紹明

 中国の知的財産権の保護状況が最近の日本のマスメディアを賑わしていた。そして、 日本と同じく「知財立国」を掲げる欧米諸国もこの問題に強い関心を示しているようである。
 知的財産法制の歴史は長いが、「知財立国」の言葉が現れたのは、さほど古いことではなく、 20世紀80年代から米国が知的財産権の強化政策を展開し始め、その後日本を含めた他の先進国も「知財立国」の国家政策を採るようになった。
 「知財立国」は,自国の知的財産を育成し国際競争力を高めることを意味する一方、 他の国々において自国の知的財産権が保護されることによって始めて自国の利益につながることをも意味する。 知的財産権の国際的保護を論じる際、よく「知財立国」政策を推進する国の国益が問題とされるが、他の国々にも国益があることを忘れてはならない。
 一国の国益は、その発展段階に従って常に変化するものであり、その法制度にも反映される。日本の海商法が船主保護から荷送り人保護に変わってきた。 また、日本、米国の国際航空機事故による人的損害の賠償額も上限ありから上限なしになっている。 さらに世界的に注目されている環境問題についても、環境先進国の環境保護基準が不変なものではなく、その発展過程において環境破壊の時代はあった。 知的財産権の保護に関しても、変わるものではない。
 「知財立国」政策を推進する国の出現により、「知財先進国」と「知財後進国」が現れ、その間に国益の衝突が生じる。 知財先進国は、その発展段階に応じて知的財産権の保護基準を高めてきて、今その保護基準を知財後進国に要求し、知財後進国は、自らの保護基準を主張するだろう。 これを調和するために、国際条約は、一つの解決方法であるが、コンセンサスを採るためにその保護基準が必ずしも知財先進国の保護基準に一致していない。 また、その条約上の保護基準に関する義務を果たしたか否かをめぐって論者によって見解が分かれる可能性もある。 現に、中国において、中国における知的財産権の保護基準がまだ不十分であるとの見解と国際基準を超えているとの見解がある。
 知財先進国は、その保護基準を力ずくで知財後進国に押付けることができるかもしれないが、すべての国に通用すると限らず、摩擦を惹き起こす恐れがある。 知財先進国は、知財保護を求める際、自国の利益だけではなく、知財後進国の利益をも考慮し、その知財保護意識を高めること、 その国々に合うような知的財産法制を提言すること等に協力しなければならない。
 知財後進国はその保護基準を高めるよう努力しなければならない一方、知財先進国も自らが歩んできた道を知財後進国が歩んでいるのだという自覚が必要である。 これは、知財の国際的調和の前提である。


(2007/07/19 update)

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