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「耳を傾ければ」

客員研究員 工藤敏隆

 休日自宅で書き物をするときなどに、インターネットラジオを聴いている。手軽である上、配信中の音楽の曲名が一目瞭然なのは有難い。 質量ともに充実しているアメリカの局に、チューナならぬメディアプレイヤーを合わせることが多いが、最近になって頻繁に流れるコマーシャルがあることに気付く。 "Internet Radio Equality Act"なる議員立法への賛同を募るものである。 曰く、「著作権料委員会(Copyright Royalty Board)が決定した、インターネットラジオでの音楽放送に対する著作権料率は不当に高率に設定され、 しかも過去に遡って徴収するという内容である。電波でのラジオ放送ではレコード会社に著作権料は支払われないし、衛星ラジオ放送の料率と比較しても、 インターネットラジオに対する料率は不当に高く設定されている。新料率によって、皆に親しまれている中小インターネットラジオ局の多くは採算が成り立たなくなり、 閉局に追い込まれる。」と。
 気になったのでブラウザを立ち上げて情報を集めてみると、新料率に反対する陣営は、議員を通じた政治活動のみならず、 著作権料委員会の決定に対する差止訴訟も提起していると報じられている。一方、強い抵抗に遭った音楽業界側は、小規模事業者に対し、 新料率の適用を向こう数年間猶予する代替案の提示も検討しているようである。
 ブラウザでの調べ物に夢中になり過ぎたせいか、ストリーミングの速度が落ち音楽が途切れてしまう。 代わりにiPodを取り出したところ、今度は我が国での私的録音補償金制度をめぐる議論を思い出す。 現在、iPodなどのHDDプレーヤーは補償金徴収の対象とはされていないが、他のメディアと同様に支払対象に加えようとする動きが具体化している。 これに対しては、公平の観点からの疑問や、ひいては補償金制度自体に対する懐疑論も根強い。 折しも、アップルジャパン名で知的財産戦略本部に提出されたパブリックコメントの内容が公開され、その痛烈さが話題となっているが、 実は第三者がアップルを騙ってしたコメントの可能性もあるという。
 洋の東西を問わず、最大多数の最大幸福の解を見出すことは一筋縄ではない。 耳を傾ければ、美しい音楽ばかりではなく、真理を求めてせめぎあう多くの声も聞こえてくる。


(2007/06/26 update)

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