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「自由貿易協定(FTA)と知的財産権」

早稲田大学助手 張睿暎

 2007年4月2日、韓国と米国の両国政府は、昨年2月から交渉が始まった二国間の自由貿易協定案に最終同意し、ついに「韓米FTA」が成立した。
 今回の韓米FTAは、商品、貿易救済、投資、サービス、競争、知的財産権、政府調達、労働、環境など貿易関連の諸般分野を網羅する包括的FTAであり、 北米自由貿易協定(NAFTA)以降世界最大のFTAになる見込みである。また、韓米両国の経済規模を合わせるとEU、 NAFTAにつづき世界3位である(2006年基準経済規模GDPは、韓国+米国で約14.1兆ドル、 NAFTA(米国+カナダ+メキシコ)で約15.1兆ドル、EUで約15.3兆ドル)。
 韓米FTAは、世界最大規模の市場である米国に韓国企業が進出するに有利であり、対外信認度が高まり外国人の投資が増大するなど、経済全般にプラス効果があると期待されている。 しかし一方、最終合意案は両国の力関係による不平等な内容が含まれており、一部の条項は国内の産業を危うくすると反対の声も高い。
 特に問題になっているのが、FTAにおける知的財産権分野に関する条項である。
 今回の韓米FTAでは、特許出願後3年以上登録が遅延された場合、遅延された期間分特許の存続期間を延長する制度と、 ジェネリック医薬品の市販許可の際に特許を侵害しているか否かを調査する制度を導入することにした。これは、韓国国内の製薬業界に否定的な影響を与え、 公衆保健のための韓国政府の公共政策にも影響すると懸念されている。
 著作権分野においては、現行の作者の死後50年間の保護期間を70年に延長することに合意した(協定文発効後2年間の猶予期間あり)。 米国内でも批判を受けている著作権の保護期間の延長に合意したことにより韓国が負担することになる追加的経済負担は2000億ウォン(約256億円)にものぼると予想されている。
 また、損害賠償額の上下限を法定する法定損害賠償制度も導入することにした。
 このように、知的財産権においては、いくつかの争点を除き米国の要求をほとんど度受容してしまった。もちろん、交渉というのは、 各当事者は自分の利益を考慮して最終的に合意するものではあるが、経済的に優越な地位を利用した協定のようにみえるのはきのせいだろうか。
 オーストラリア・バーレイン・シンガポールなど、今まで米国とFTAを締結した他の国の例をみても、知的財産権分野は最初から米国の核心的な要求事項であった。 エンターテインメント産業と製薬産業で世界市場を掌握している米国は、国際協定を通しての自国の要求貫徹が難しくなると、 その莫大な経済力を武器に自由貿易協定を利用しているように思われる。今や知的財産権は、その本来の使命を超え、 大国が自らの経済的パワーを維持・発展させるための外交政策上の道具と化しているように思われる。


(2007/04/18 update)

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