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「放送と通信の連携・融合」

RC 今村哲也

 数年前になるが、放送局に勤める後輩が、トレソーラという民法3社の関わるブロードバンド配信サービス会社の企画に関わっているというので、 テレビをみることの少ない私でも、パソコンに向かうことは多かったので、視聴させていただいたことがある。 当時配信されていたTVドラマなどのコンテンツはなかなか面白く、有料ではあったものの、しばらくの間楽しませていただいた。
 もっとも、残念なことに、この会社、今は事実上の休眠状態にあるようだ。休眠状態というのは、要するに採算が合わなかったということであるが、 トレソーラは、もともと、ブロードバンド配信サービスの「実証実験」として起こされた会社のようであり、なんともぜいたくな話ではあるが、 もとよりこのような結果は概ね予測されていたようである。
 採算を得る上で主要なネックとなったのは、放送用に製作された番組の著作権等の権利処理にあったようである。当然であろう。 放送番組の権利処理は、基本的には、放送使用の許諾としてなされるものであり、映画やレコード音源のように、 オールライツの取得を原則として行われるものではない。ブロードバンド配信サービスに必要なライツについて、 改めて許諾を得る必要があるのは当然であるし、そのコストは負担しなければならない。
 この点、権利処理コストの低減化に関しては、著作権法改正により、番組のブロードバンド配信については、特別に、 事後承諾的な取扱いを導入するなどの抜本的な提案もある。 確かに、円滑なコンテンツ流通という観点からは有益だろうが、権利者団体と利用者団体との間でのコンセンサスを形成するのが難しいように感じる。 新聞や出版等、他のメディアの場合とのバランスという問題もある。現実的なのは、抜本的な法改正ではなく、 経団連の研究会でブロードバンド配信の利用料率を暫定合意したような(実際に役に立ったかどうかはともかく、プロセスこそが大事である)、 権利者団体と利用者団体での、経済法にも配慮しつつの、ねばり強い持続的な協議により、徐々にでも、権利処理に係る合意形成をはかることであろうか。
 さて、上記は、ブロードバンド配信に関する権利処理の難しさの話であったが、放送をめぐっては、 転送システムを利用した個人による放送コンテンツの再送信の問題やYoutube等の動画共有サイトの問題、 地上波デジタル化やIPマルチキャスト放送への対応など、さまざまな課題が残されている。このような放送と通信の融合・連携時代を迎えた今、 権利者団体と利用者団体そして視聴者の利益とを調和しうる制度構築ないし市場構造を模索していくための、 関係者による「未来創造的な」議論が大いに期待されているといえるだろう。本来的には、イノベーションを通して、 産業全体のパイはますます大きくなっていると信じたい。学者的な、絵に描いたような月並みなまとめかたで申し訳ないと思いつつも、 心よりそう感じる次第である。

(2006/10/20 update)

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