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「比較法研究とデータベース・プロジェクト運営〜担当者雑感」
RA 青柳由香
昨年(2005年)末に、比較法をご専門とする大木雅夫先生のご講演を拝聴する機会に恵まれた。本学の比較法研究所が主催し、実現したものである。 大木先生ご自身から発せられる言葉は、比較法に対する先生の情熱に満ちたもので、筆者は非常に感銘を受け、 またこのような機会を得られる自分は恵まれていると思ったものである。さて、この講演における先生のメッセージのひとつに、 日本法1+外国法1では比較法を行うに十分ではない、完璧ではなくてもよいから外国法を2つは研究して欲しい、との学生・研究者への要望があった。
現在RCLIPが取組んでいるIP関連判決データベース構築プロジェクトは、中国、タイ、韓国、インドネシア、台湾、ベトナムについてなされている。 このうち、筆者はインドネシアおよび台湾を担当しているのであるが、2国間の様々な点での異同を経験している。 それぞれの国の経済的な発展段階が異なることもあり、当然に知的財産法の執行状況は異なる。この点については、 データベースの成果としてのセミナー等に譲るとして、担当者としての活動を通じて経験した相違について簡単に紹介したい。
まず、両国の担当者に通じるのはIPの重要性の認識と、データベースの構築を通じて何らかの貢献がしたいとの協力的な態度である。 これに対し、両国で異なる点として最も印象的であるのはタスクを遂行する時間的感覚である。そもそもチームの構成が違うのであるが、 その構成も両国の特徴を示したものに思える。台湾は弁護士・研究者・判事からなる機動的なチームで、仕事を前倒しで行っている。 他方、インドネシアは最高裁判所内で判事と協力者の弁護士からなるチームを作った。こちらは進捗が遅めで、 かつ所内の上司の確認を取りつつプロジェクトが進んでいく。プロジェクトにあたり、これを初めとするさまざまな両国間の違いに慣れる必要があった。
学問である比較法には到底及ばないのではあるが、全く同じプロジェクトを2つの異なる国で行ったことで、 両国の社会における文化の違いを比較可能な形で垣間見ることが出来た(これに、他国の担当者の話を合わせるとさらに興味深い)。 振り返ってこのプロジェクトでの経験を大木先生のお話に照らして考えた次第である。すなわち、大木先生が外国2カ国とおっしゃったのは、 ただ一つを知ることで外国を知るというには不十分で、その外国も他の外国と比較してようやく客観的に見ることが出来るようになるということなのかもしれない、と。 (さらに考えると、外国2カ国でのプロジェクト運営ですら大変であるのだから、研究となるともっと大変であろう、と繋がる可能性については言及にとどめよう。)
(2006/1/18 update)
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