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「市役所前の接吻」から55年

RA 小川明子

 写真家のRobert Doisneauは1950年Life 誌の仕事でパリの恋人たちをテーマに一連の写真をとった。 ”The Kiss at City Hall(市役所前の接吻)”も、そのうちの1枚だった。 写真を見た人々がこのモデルが自分ではないかと名乗り出るようなこともあったがDoisneauは特にモデルを明らかにすることもなかった。 訴訟が起こされるまでは。
 Lavergne夫妻が「自分たちが知らないうちに写真を撮られた」と主張すると、Francoise Bornetという女性も名乗り出た。 Francoise Bornetは当時の恋人とカフェにいるところをDoisneauに見出され、外でもう一度キスしてほしいと頼まれたという。 1986年にポスターとなってから6年間で41万部も売れたというこの写真に対して、1993年経済的配分を求めた2件別の訴訟が提起された。
 Lavergne夫妻は経済的配分の他に、無断で撮影されたことでプライバシーを侵害されたことに対する損害賠償を求めたが、 Francoise Bornetは、写真のためにポーズをとったものでありプライバシー侵害を主張しなかった。 Francoise Bornetがモデルだったことを裁判所は認めたが、 写真のアングルと普通の通行人の写真であるかのように見せた手法から女性の顔が確認できないとして却下した。Lavergne夫妻も敗訴している。
 それから11年、Francoise BornetはDoisneauから贈られたサイン入りのこの写真をパリでオークションにかけることを発表した。 ”La photo est posee, mais le baiser est vrai.” 75歳のパリジェンヌは粋なことを言うではないか。 「写真はポーズしたものだけれど、キスは本物だったのよ。」
 2005年4月25日、この写真は彼女の予想を遥かに上回る155,000ユーロで落札された。 どんな写真だったかは、http://www.artcurial.com/communique/presse_photo03.htmlをご参照あれ。

(2005/05/06 update)

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